シャンプー成長物語

2021-09-02

コタはシャンプーが大嫌い。

 

 

 

産まれて此の方、シャンプー時に泣かなかったことが無い。

 

 

 

どうやら顔が濡れることが怖いようだ。

 

 

 

だから、毎度毎度シャンプー時は戦争だった。

 

 

 

ネットで見た「思い切って頭からバシャッとお湯をかけ続けたらいずれ慣れる」という口コミも、シャンプーハットも、キャラクターのシャンプーも、コタには全く効かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一番しんどいのはもちろんコタだが、

 

 

 

私にとっても、泣き喚くコタの体を押さえつつ、なだめつつ、手際よく洗うのは大変だった。

 

 

 

苦行と言っていい。

 

 

 

正直なところ、毎夜毎夜お風呂場に響き渡るコタのがなるような泣き声に、私は頭がおかしくなりそうだった。

 

 

 

なので、頭を洗ってあげられない日も多くなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でももちろん、全く洗わないわけにはいかない。

 

 

 

考慮の末、頭に軽くシャンプーを付け、それを濡らしたトーマスの浴用タオルで拭き流すことにした。

 

 

 

この方法だと、前より泣かなくなった。

 

 

 

 

 

 

ただ、この方法ではどうしても洗い残しがあるようで、コタの頭はいつも臭かった。

 

 

 

コタもよく頭をボリボリ掻いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな日々が続いていた今年の4月。

 

 

 

コタが3歳8ヵ月の時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャンプーの体勢を変えてみたら、コタが泣かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それまでの体勢はこうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



このように、上を向いて立ってもらっていた。

 

 

 

 

 

 

しかしこの方法では、上を向くこの姿勢が「くびがしんどい!」と毎回怒っていた。

 

 

 

そして動くのでおでこや目にお湯が垂れ、その垂れてきたお湯を拭こうと下を向き、余計にお湯が顔に垂れてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は首がしんどくならないにはどうすればいいかなーと考え、試しにこうしてもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トーマスのタオルで拭き流す方法は同じであるが、

 

 

 

浴槽の中に子供用浴用イスを入れて座ってもらい、浴槽のへりに後頭部をつけるように上を向いてもらう。

 

 

 

すると、首の位置が浴槽のへりちょうどフィットし、上を向いてもしんどくないのだ。

 

 

 

いわゆる美容室のシャンプー台スタイルである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しんどくなくなったためか、首が固定されてお湯が垂れてきにくくなったためか、コタは泣かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この方法をしばらく続けていき、コタがすっかりこの体制に慣れてきた頃。

 

 

 

私はステップアップすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おでこ上部に浴用タオルを乗せ、目にお湯が垂れてこないように土手を作り、

 

 

 

手桶でちょろちょろと頭にお湯をかけてシャンプーを流すのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めてこれをやる時、私はコタと約束をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、

 

 

 

「お湯を流す時、コタの覚悟が決まって『やる!』と言ったら流す。逆にしんどくなったら『しんどい』と言ってもらい、そしたらすぐに流すのを止める」ことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コタは当然、最初はなかなか「やる」とは言わなかった。

 

 

 

私は「コタがしんどいって言ったら、絶対にすぐやめる」と伝え続けた。

 

 

 

 

 

 

コタは、「やる」と言った直後に「しんどい」と言ったり、

 

 

 

「しんどい」と言って休憩をしたらその後「やる」と言わず数分経過したり、

 

 

 

全然しんどくなさそうなのに「しんどい」と言ったり、

 

 

 

ふざけて「しんどい」と言ったり、

 

 

 

 

 

 

とにかく以前の何倍もシャンプーに時間がかかった。

 

 

 

 

 

 

でも私は、何十分時間がかかろうが、「しんどいと言われたら止める」を徹底し続けた。

 

 

 

 

 

 

コタがお遊びで言う時の「しんどい」にも、「分かった。しんどいなら止めるね。教えてくれてありがとう」と笑顔で言い続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、コタは(ぼくがしんどいっていったら、おかあちゃん、ほんとうにやめてくれるんだ)と安心したのか、

 

 

 

だんだん「しんどい」と言わなくなった。

 

 

 

 

 

 

それどころか、湯船で遊んでいる時、自分から「そろそろ、あたまあらう」と言うようになった。

 

 

 

 

 

 

そしてシャンプーをしながら、「ちょっとしんどい」「がんばる。やる」「なんか、めにはいりそう」などと伝えてくれるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【覚悟を決める3歳児】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、シャンプー時の信頼関係が生まれたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで本当にシャンプーが楽になった。

 

 

 

 

 

 

コタも私も、ようやくシャンプーのストレスから解放されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に私は、「お湯のせいにする」という新技も身に付けた。

 

 

 

 

 

 

うっかり浴用タオルを通り越しておでこにお湯が伝ってしまい、コタが癇癪を起こしかけた時、文字通りお湯のせいにするのである。

 

 

 

 

 

 

私は「あらら、お湯くん。それはいけないわ〜。いくらコタのことが好きだからって、おでこに行っちゃいけないわ〜」と明るく言う。

 

 

 

私の失敗ではなく、やんちゃなお湯くんの責任だとコタにさりげなくアピール。

 

 

 

私が「お湯くん、おでこの方に行ったらコタがびっくりしちゃうからだめだよ。コタ、今おでこ拭くからね」と明るく言い続けると、

 

 

 

コタは癇癪を忘れキョトンとし、「おゆくん、きちゃったの?」と私に聞いてくる。

 

 

 

私が「そうだよ。お湯くんが間違っておでこに行っちゃったんだって。困ったねー」などと続けると、コタも「おゆくん、いけないわー」とお湯くんを叱るようになった。

 

 

 

 

 

 

こうして、コタもおでこを流れる多少のお湯にはそんなに怒らなくなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして4歳になった今、

 

 

 

更に成長し、たまにシャワーを使わせてくれるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ数カ月ですごく成長したと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのうちいつか、自分で洗えるようになる日が来るのかなあー。