先日、保育園で『一日入園』があった。
保育園の遊戯室で1時間自由に遊び、その後年中さんに園内を案内してもらうという、保育園に慣れるためのイベントだ。
遊戯室での自由遊びでは、来年度入園予定の子供たち15名程が思い思いに遊んでいた。
1人でおもちゃで遊ぶ子。
お友達と遊ぶ子。
駆け回って遊ぶ子。
時間が経つにつれ、最初はお母さんにくっついていた子ども達も、そばにお母さんがいなくても平気になっていった。
お母さん方は、遊戯室の外で輪になってお喋りをしていた。
コタは、電車のおもちゃを手に、最後まで夫と私にぴったりくっついて遊んでいた。
そういう子は他にも数名いた。
一日入園の後、園長先生とお話をした。
誰もいなくなった遊戯室。
園長先生「加配について決まりました。コタ君には、1人付くことになりました」
私「…え?…1人って、1対1ってことですか?」
園長先生「はい。そうです」
私「コタに、ずっと1人、先生が付いてくれるってことですか?」
園長先生「はい」
私「…良かった。あ、ありがとうございます!」
予想外のことに驚いた。
以前園長先生から、加配の付き方がどのようになるか(1対1になるか、数名の園児に1人の先生になるか)は、まだ分からないと言われていた。
コタの他にも援助の必要な園児が数名いるとのことだった。
なので私は、手厚いフォローは難しいかもしれない、と考えていた。
でも。
1対1で見てもらえるんだ…!
私の表情は一気に緩み、
それを見た園長先生も笑っていた。
その後、
私からコタの対応についての要望を話した。
かなり色々要求してしまった。
以下は、その箇条書きである。
①コタが自分でやる気になるような声かけを。
コタは、何かを「させられる」ことを敏感に察知し、「させられる」ことへの拒否感が非常に強い。
声かけ作戦は時間はかかるが、本人が自らの意思で取り組むように気持ちを持っていくのが、結果的に一番早い。
無理矢理やらせてうまくいくことはほぼ無い。
②「みんなでうたうこと」を嫌がる。
家でも「おうた、いやなの」と言っている。
自分の好きな歌を家で好きなように歌うのは好き。
療育では、朝の会を私のお膝に座って見ることは出来る。
「(参加しないで)見るだけでいいよ」
「見るだけでいいから、ちゃんとお母ちゃん椅子に座っていようね」
「歌わなくてもいいんだよ。見ていようね」
等の声かけで、脱走しないでいられる。
また、コタの様子を見ながら要所要所で「座っていられてすごいね」「偉いね」などの声かけを続けると、本人も嬉しそう。
③スケジュールの見通しが立つ声かけと、スケジュールを目で見て分かるようにしてもらうことのお願い。
時計が少しずつ分かるようになってきたので、
「長い針が6のところに行ったらお片付けだよ」
「あと5分でお片付けだよ」
「あと1分だよ」と、気持ちの準備をさせてあげて欲しい。
絵で描かれた分かり易いスケジュール表があるとありがたい。
④感覚過敏・鈍麻が凸凹。
体を触られることに抵抗感あり。
手を引っ張る、無理矢理抱っこして連れて行く、などは止めて欲しい。
道路で手をつなぐことは出来る。
⑤パニックになったら、落ち着くまで隣で待って欲しい。
なだめるのは逆効果。
しかし、部屋に1人にされるのも余計にパニックになる。
隣で『ほがらかに無視』作戦が有効。
⑥(園にしかない)お気に入りのおもちゃを見つけることが出来れば、教室に入れると思う。
お気に入りのおもちゃへのこだわりが強いので、最初はそれが保育園に行く目的になると良い。
⑦加配の先生との信頼関係を第一に築きたい。
コタは、療育でお気に入りの先生の言うことはよく聞く。
加配の先生には、コタがまず自分でやってみて、出来ないことへのフォローをして欲しい。
コタは「自分、自分」の子。
過干渉は逆効果になる。
⑧併行通園はする予定でいるが、保育園に慣れるまではお休み。
その後もコタの様子で再開を決める。
(※詳しくは『併行通園か、保育園一本か⑤』をご覧ください…と言いたいところだが、これはまだ下書き段階で、投稿していない記事であった。
なるべく早く整理して、『併行通園か、保育園一本か』を完結させたいと思います)
⑨送り迎え・その他の対応は夫が主に行う。
私は子の世話に疲れ果てており、少し子どもと離れたいこと、
今後は仕事の比率を多くしていくこと、
夫が表のことを主に行うこと、
夫の方が上手くやれるだろうこと、を伝えた。
正直なところ、夫は私の精神状態が悪いから引き受けざるを得ないのだと思う。
私が色んなことを思うのと同様に、
夫もこんなはずじゃなかったと思っているだろうことは、日々の会話の端々で感じ取れる。
私の就職は一つの賭けだ。
事態が好転するといいな。
どういう家族の形になっても、各々が幸せならそれでいいや。
…あら。話が逸れてしまった。
とにかく、以上のように色々と要望を伝えた。
色々言いすぎたので、めんどくさい親認定されないか少し不安になった。
園長先生は私の話を聞いてこう言った。
「まずは、コタ君のペースでやってきましょう。
コタ君だけではなく、年少児は最初はそうするんです。
自分のやりたいことをやらせて、その中から保育園に楽しみを見つけていく。
秋ぐらいになると、周りの子のことが気になりだして、自然と「集団」になっていくんですよ。
今まで、夏まで給食を食べなかったり、部屋に入れなかった子もいました。
その子に応じて、廊下で給食を食べさせるなどの方法を取ってきました。
色んな子がいます。
心配しすぎないで下さい。
スケジュールの見通しを立てることも、今伺ったことを参考に、こちらで工夫してやっていこうと思います。
併行通園なら療育施設とも連携を取っていきますが、お母さん、何かあったら遠慮せず園に相談して下さいね」
と。
不安しかなかった保育園が、少し楽しみになってきた。
コタも、おもちゃで遊べて楽しかったみたいだ。
後半には電車好きのお友達と少し遊べたし、お片付けも出来た。
年中さんが園の中を手をつないで案内してくれるのは、予想通り一緒には行けなかったけれど。
無理にはさせなかった。
保育園に良い印象を持ってくれたかな。
コタは帰り際、「また、こようねー」と言っていた。