コタはエレベーターが好き。
私たちは、とある歩道橋のエレベーターによく乗りに行く。
そのエレベーターは、歩道橋の下と上、つまり1階と2階を往復している。
エレベーターの箱と昇降路の壁は透明のガラスで出来ている。
シースルーエレベーターと言うらしい。
人があまり来ない場所にあるため、
好きなだけエレベーターの乗り降りを堪能できる、
我らの行きつけのエレベーターである。
本日も私たちはそのエレベーターを満喫していた。
コタはボタンを押して乗り降りするのも好きだが、
外からエレベーターの箱が動く様子を見るのも好きである。
いつものようにじーっと観察すること数十分。
コタは、あることに気が付いた。
「えぴぴうぇいたーね、うごくとね、くるくるって、まわるの」
そう。
コタは、エレベーターが動く時に、ワイヤーを巻く車輪が回ることを発見したのである。
それからずっと、エレベーターが動くたびに、
「ほら、おかあちゃん、みて、まわるよ、ほら」
そして、エレベーターが止まったら、
「とまったよ、とまったよ、とまったよ」
と、興奮気味に叫んでいた。
お夕飯の時も、
コタは嬉しそうに、
「えぴぴうぇいたーね、こう、くるくるくるーって、まわるの」と、
両手を大きくぐるぐる回しながら車輪が回る様を夫に報告していた。
コタ、今日は大発見だったね。