夫婦間で、こんなことがあった。
私(ぶたこ)は、変な踊りをよくする。
夫(うまお)に言わせれば、古い、ださい踊り。
名前があるとすれば「ツイスト」らしいが、本来のかっこいいツイストと比べてなんだか変。
とにかく、ださくて、イキってて、恥ずかしいらしい。
そのような踊りのレパートリーが、私にはいくつかある。
テンションが上がった時、
私は自然に体が動き、その踊りが出る。
踊りが出たら、一緒に踊って欲しくなり、私は踊りながらうまおに迫る。
うまおは見てみぬふりをし、絶対に一緒に踊らない。
私は負けじと踊りながらうまおにまとわりつく。
そして根競べが始まる。
たいてい、コタが泣くなどの第三者の妨害があり、この勝負は尻すぼみになる。
勝負はつかなくても、
私は踊れて楽しい。
だから元気に暮らせている。
先日、
いつものようにぶたこダンスでうまおに迫っていたら、
うまおに真顔で、
「絶対に踊らない。強要が不快」
と言われた。
そこから押し問答になった。
ぶたこ「別に強要してないよ。踊ってなんて言ってないじゃん」
うまお「こっちが嫌がっているのに、笑うまでやろうとするやん」
ぶたこ「そんなことないよ」
うまお「笑えって強要されるのが嫌」
ぶたこ「別に笑わなくていいよ。私が勝手に踊っているだけだもん」
うまお「見せてこようとするやん」
ぶたこ「見るのはいいでしょ」
うまお「見るだけでも苦痛」
ぶたこ「見るだけだよ?」
うまお「見たないねん。その踊り、本当に不愉快。心底不快。強要すんなや。見たくないんやから」
なんですと。
確かに、迫りまくってはおりました。
でも、そこまで言われなくてはいけないことでしょうか。
私は機嫌よく踊るのがそんなにだめですか?
ちょっと誘うのもだめですか?
私がムッとしていると、
私が反論できなくなったと思ったうまおは、勝ち誇ったように、
「まあ、あれやな。
とにかく、強要されるのが嫌やねん。
踊りどうこうや無くて、
ぶたこの、そういうところが嫌やねん」
と、言った。
確かに多少強要めいていたかもしれない、
それは認めるが、
食卓でちんちんをぼりぼり掻くのを私に何度も注意されているのに直さない人間に、
そんな正論を言われたくない。
悔しかったので、
私はコタと下の子にぶたこダンスを教えた。
コタは、両手を伸ばして頭の上で振ったり、足をバタバタさせたり、一生懸命真似をした。
下の子には、私が手を持って躍らせた。
下の子には、私が手を持って躍らせた。
ふたりとも、カワイイ。
なんてカワイイ。
私はコタと下の子と3人で、
ぶたこダンスをきゃっきゃ言いながら踊り、笑い、また踊った。
それを見ていたうまおが、
「2人が踊っていると、俺も一緒に踊りたくなるなあ」と言った。
なので、
私は、
「絶対踊らせないから!」
と、反撃した。
私は勝った。
≪おしまい≫