コタは身辺のことを自分でやりたがらない。
上着を着るのも、靴を履くのも、自分で出来るのに「おかあちゃんがやって」と私にやってもらおうとする。
少しでもいいから自分でやってくれないかなぁと思い、
今朝、出かけるとき、
玄関に座って足を出して靴を履かせてもらうのを待つコタに、
「コタ。靴は自分で履いてみよう。出来るもんね」
と言ってみた。
コタは、一瞬靴を手に取るが、
すぐに「おかあちゃんがやるの」と声を荒げた。
負けてはならぬと、
「コタ。自分で靴履けるでしょう」
「おかあちゃんがやるの!」
「何でもお母ちゃんにやってもらうのは、赤ちゃんだよ」
「おかあちゃんがあ!!」
と、コタは泣きはじめた。
またか…。
何も泣くことないでしょう。
この朝の忙しい時に。
でも、ここで折れてはだめだ。
「コタがかっこよく靴履けるの、お母ちゃん知ってるよ。お母ちゃんに見せて」
「おかあちゃんがやるのっっ!!」
むむ。仕方がない。譲歩をするか。
「じゃあコタ、お母ちゃんと一緒にやろうよ」
「やだ!おかあちゃんだけがやるのーーっっ!!(絶叫)」
譲歩は効かず。
つい私がイラッとしたのが顔に出てしまったのだろう。
コタは「ごめんなさい!ごめんなさい!」と叫びはじめた。
こうなるともう何を言ってもダメだ。
「はあー…(ため息)。謝らなくていいからさ。自分でできるんだからやって欲しいだけなのよ」
「おがあちゃん!ごめんなさい!」
「謝らなくていいよ」
「ごめんなさい!ごめんなさい!もうしません!」
「いや、もうしませんじゃなくて。して欲しいのよ。靴を履いて欲しいの」
「もうしません!もうしません!もうしません!」
「そのもうしませんはいい。こっちはして欲しいから」
「もうしません!もうしません!も゛う゛し゛ま゛せ゛ん゛ー!」
「だから、そのもうしませんは分かったから。して欲しいんだけど。そのもうしませんはもうしないでいいんだけど。靴はして欲しいんだけど。」
「う゛わ゛あ゛あああああーーーーーん!!!(パニック)」
という、お互いワケ分からない状態になった。
…というお話。