療育で、毎月1日は身体測定の日。
体重と身長を測る。
コタは、体重計には大人しく乗れるが、身長を測るのが大の苦手。
後の棒に背中をぴったりくっつけてじっと待つ、ということが出来ない。
動いてしまうから、先生と私が、コタの頭と胴体とかかとを押さえつける。
コタは押さえつけられるのが嫌で暴れる。
暴れるからもっと強く押さえる。
癇癪が始まる。
の、悪循環。
だから毎月1日の療育は憂鬱である。
当日に療育に行ってから本人が「身体測定がある」と分かるより、
前もって伝えていた方が心構えが出来て良いかな、と思い、
昨晩、
「明日の療育、身長を測るんだよ。どのくらい大きくなっているかなあ。楽しみだね」とコタに言ってみた。
コタはそのとたんに泣き出した。
「しんちょう、はかりたくないー」
「コタ、ご飯いっぱい食べたから、きっと大きくなってるよ」
「いやだあー」
「どのくらい大きくなってるか分かるんだよ」
「やだー!」
「先生たちも知りたいって」
「やなのー!!」
「コタ、頑張ってお野菜食べたから、きっとお兄ちゃんになってるよ」
「やだやだやだやだやだーーー!!!」
この後、何を言っても癇癪は収まらなかった。
明日もきっとこんな感じなんだろう、と予想がついた。
優しく、なだめて、気持ちをのせて、褒めて、なんとか身長計に立たせて、褒めて、褒めて、褒め倒して、常に笑顔で、
それでも、うまくいくとは限らない。
きっと暴れるんだろう。
他の子たちはちゃんと出来ているのに。
この子だけ大暴れなんだろう。
その風景が見えてしまって、まだ何もやっていないのにうんざりした。
そこから何もやる気が起きず、
お夕飯の洗い物もせず、お風呂にも入らなかった。
明日の療育に行く気力はほとんど失せていた。
夫も「明日は休んだら?お互いストレスになるだけだから」と言った。
コタに「いいよ、明日療育行かないから。身長測らないよ」と言うと、
彼はようやく泣き止んだ。
すぐに笑顔で遊び始めた。
何もやっていないのに、疲れたな。
夫に「(この子と居て)もううんざりって思わない?」と聞くと、
夫は「俺はそこまではいってない」と言った。
前向きに頑張ろうって思えても、
コタの泣き声や怒鳴り声で、
それは一瞬で吹き飛んでしまう。
毎日毎日この繰り返し。
こころが疲れた。
ドラえもんで「独裁スイッチ」という道具がある。
独裁者が気に入らない人の名前を言ってそのボタンを押すと、
言われた人はこの世から消えてしまうスイッチ。
消えた人のことは、人々の記憶から消え去り、その人はもともと存在しなかったことになる。
誰か、私の名前を言いながら押してくれないかな。