身長を測る

2020-12-01

療育で、毎月1日は身体測定の日。

体重と身長を測る。

 

 

 

コタは、体重計には大人しく乗れるが、身長を測るのが大の苦手。

後の棒に背中をぴったりくっつけてじっと待つ、ということが出来ない。

動いてしまうから、先生と私が、コタの頭と胴体とかかとを押さえつける。

コタは押さえつけられるのが嫌で暴れる。

暴れるからもっと強く押さえる。

癇癪が始まる。

の、悪循環。

だから毎月1日の療育は憂鬱である。

 

 

 

当日に療育に行ってから本人が「身体測定がある」と分かるより、

前もって伝えていた方が心構えが出来て良いかな、と思い、

昨晩、

「明日の療育、身長を測るんだよ。どのくらい大きくなっているかなあ。楽しみだね」とコタに言ってみた。

 

コタはそのとたんに泣き出した。

 

「しんちょう、はかりたくないー」

「コタ、ご飯いっぱい食べたから、きっと大きくなってるよ」

「いやだあー」

「どのくらい大きくなってるか分かるんだよ」

「やだー!」

「先生たちも知りたいって」

「やなのー!!」

「コタ、頑張ってお野菜食べたから、きっとお兄ちゃんになってるよ」

「やだやだやだやだやだーーー!!!」

 

この後、何を言っても癇癪は収まらなかった。

 

 

 

明日もきっとこんな感じなんだろう、と予想がついた。

優しく、なだめて、気持ちをのせて、褒めて、なんとか身長計に立たせて、褒めて、褒めて、褒め倒して、常に笑顔で、

それでも、うまくいくとは限らない。

きっと暴れるんだろう。

他の子たちはちゃんと出来ているのに。

この子だけ大暴れなんだろう。

 

 

 

その風景が見えてしまって、まだ何もやっていないのにうんざりした。

 

 

 

そこから何もやる気が起きず、

お夕飯の洗い物もせず、お風呂にも入らなかった。

 

明日の療育に行く気力はほとんど失せていた。

 

夫も「明日は休んだら?お互いストレスになるだけだから」と言った。

 

 

 

コタに「いいよ、明日療育行かないから。身長測らないよ」と言うと、

彼はようやく泣き止んだ。

 

すぐに笑顔で遊び始めた。

 

 

 

 

 

何もやっていないのに、疲れたな。

 

 

 

 

 

夫に「(この子と居て)もううんざりって思わない?」と聞くと、

 

夫は「俺はそこまではいってない」と言った。

 

 

 

 

 

前向きに頑張ろうって思えても、

コタの泣き声や怒鳴り声で、

それは一瞬で吹き飛んでしまう。

 

毎日毎日この繰り返し。

 

 

 

こころが疲れた。

 

 

 

ドラえもんで「独裁スイッチ」という道具がある。

 

独裁者が気に入らない人の名前を言ってそのボタンを押すと、

言われた人はこの世から消えてしまうスイッチ。

 

消えた人のことは、人々の記憶から消え去り、その人はもともと存在しなかったことになる。

 

 

 

 

 

誰か、私の名前を言いながら押してくれないかな。