来年度の保育園入園に当たって、併行通園にするか、保育園のみにするか。
11月に主治医の先生の診察があったので、先生から見てコタはどちらが適切か意見を伺った。
先生は、併行通園のメリットとして3点あげた。
①毎月のリハビリ(OT、ST)が受けられること。
※療育を辞め、病院でリハビリを受けるとなると半年待ち。今はリハビリを必要とする患者さんが多いため空きがない。
②療育施設は放課後デイもやっているため、籍を置いておけば就学した時に優先的にデイに入れてくれる可能性があること。
③親の相談場所。
次に、デメリットとして2点。
①2か所通うことで、コタが混乱する可能性があること。
②週に1日抜けることで、他の園児との差が更に広がる可能性があること。
上記を踏まえ、先生は「コタ君の特性を考慮すると、保育園一本の方がいいのではないかと思います」と言った。
理由として、
「コタ君は新しい環境に慣れるのに非常に時間のかかるお子さんです。
まず、保育園の集団に慣れることを第一に考えたほうがいいと思います。
デメリットであげたように、2か所通うことでコタ君が混乱する可能性があり、保育園だけに絞った方が、本人のストレスが少ないのではないかと思います。
特に、保育園で加配の先生との信頼関係を作ることが大切です」
とのことだった。
また、先生は
「通うことになる保育園の規模は小さいようなので、加配が付けば療育と同じように手厚くフォローして頂けるし、コタ君にとっても、少人数の療育とそんなに大きく環境は変わらないのではないでしょうか」
と言った。
(これについては、私のミスがあった。
先生に保育園の年少の規模を聞かれ、年少の定員は20名だが、保育園あそびの人数が8名だったため、私は来年度の年少さんは8名と思い込み、先生にそう伝えていた。
しかし、後日保健師さんに確認したら、来年度は人数が多く、20名の満員になりそうとのことだった)
先生の見解を受けて。
私は99%併行通園になるだろうと思っていたので、意外だった。
療育を辞める―
でも、でも…。
私の考えを見透かしたように、先生は笑顔で言った。
「でも、スパッと療育を辞めちゃうのは、お母さん不安ですよね」
私は頷いて言った。
「…はい。まだ困難なことも多いので、本当に辞めて大丈夫か不安です。あと、相談場所でもあったので、それが無くなることも不安です」
それに。
『療育に行っている』という『事実』は、私にとっての心の安心材料でもあった。
行っている、
ちゃんとやっている、
やれることはやっている、
という安心。
漫然と通っているわけではないが、そういう安心感があったのは確か。
先生は、
「今度療育の先生に、
① 4月からは、まず保育園に慣れるために療育を少しお休みして、保育園に慣れたら再開することはできるか?
② 通う頻度はどの様になりそうか?週1以下(月2回など)でも大丈夫か?
③コタ君の様子を見て、途中から回数を変えることはできるか?
を聞いてみたらいかがですか?
その上で、併行にするかどうか決めたらいかがでしょう。
まだ時間もあるし、ゆっくり考えて大丈夫ですよ」
とアドバイスをくれた。
なるほど。
まず併行通園の詳しい日程を聞いてみる必要があるか…。
メモを取り終え、眉間にしわを寄せて宙を見つめる私に、先生は重ねて言った。
「保育園で困ったときに、それを先生に言えることが重要なんです。困り感をしっかり伝えられるか。これはコタ君の保育園生活にとって、とても重要なことです」
困り感。
しっかり伝えられるか。
…だとしたら、加配の先生との信頼関係が第一か。
リハビリ云々より、そこを第一に考えるべきか。
ますます眉間の溝が深まる私に、先生は更に重ねた。
「保育園一本にしても、併行通園にしても、目的を持つことが大事だと思います。何を一番の目的とするか、です」
目的…。
保育園に行く目的…。
楽しく通って欲しい。
みんなと楽しく園生活をして欲しい。
それが目的…。いや、目標?
「分かりました。ありがとうございます。実は併行通園になるものだと思い込んでいたので、正直びっくりしたのですが…。帰って夫と相談したいと思います」
最後に、先生はにこっと笑ってこう言った。
「悩むよね。最終的には親が決めなければいけないもんね。
でも、親は悩むけど、子どもは強いから。慣れるよ。大丈夫だよ」
私はこの主治医の先生を信頼している。
だから、先生の『大丈夫だよ』は、私の心のもやを少し吹き消した。
もう一度しっかり考えよう。
ちなみにコタは診察中、くるくる回る椅子にミニカーを乗せて、椅子をくるくる回しミニカーを飛ばして遊んでいた。
飽きたら、先生と私にまとわりついて、お話の邪魔をしてきた。
そういえば、一年前はこの診察室には泣いて入れなかったけど、今はすんなり入れるようになったよね。
慣れるのに時間はかかるけれど、確実に慣れていくんだね。
≪つづく≫