病院の難所

2020-12-16

明日は、病院の新生児フォローアップ外来で、少し遅めの3歳児検診である。

(コタは今現在3歳4ヶ月)

 

 

 

そんな病院には、たくさんの難所がある。

 

 

★その一、体温測定

 

コタは脇で計る体温計が苦手。

 

だが、最近病院の体温計が接触せずにおでこでピッと計るものに進化したので、これはおそらく問題ないだろう。

療育で毎朝ピッとしているから慣れているし、今のところ嫌がるそぶりは見せていない。

 

 

★その二、身長・体重測定

 

コタは体重計には割と嫌がらずに乗ってくれるが、身長を計るのは極端に嫌がる。

足や頭を押さえつけられるのが苦手なのだろう。

身長を計りたくないが故に療育に行かなかったこともある程だ(身体測定の日)。

 

 

なので、病院で計れなかったときのために、自宅で身長と体重を計っておいた。

 

 

身長測定は、台所の柱を使って行った。

最初にぬいぐるみのもんちゃんを柱の前に立たせ、頭のてっぺんあたりの柱の位置にペンで印をつける。

そしてその印のところに動物シールを貼る。

続いて私も柱の前に立ち、印をつけ、シールを貼る。

そして、下からシールの所までメジャーを伸ばし、それぞれの数値を計る。

 

ポイントは、(もんちゃんと)私が、一連の動き一つ一つを楽しそうにきゃっきゃとやること。

「もんちゃん、まっすぐ立ててるねー♩」

「じゃあお母ちゃんはブタさんのシールにしよっかなー♬」

「大きくなったねえ、もんちゃん♪」

「わーい。上手に計れた―♫」

 

私のもくろみ通り、それを見ていたコタは、「コタもー」とこちらへやって来た。

しめしめ(にやり)。

 

「コタもやろっか。じゃあ、そこにピッと立って。かかとを柱につけてね。うん、とっても上手。はい、ここだね。できたよ。コタ、上手に立っていられたね」

私は一瞬で印を付けた。

 

モタモタして、彼の気が変わったら元も子もない。

素子も大林もない。

 

 

柱の自分の身長の高さのところにシールを貼ったコタは、とっても満足気だった。

96.5センチなり。

 

 

こうして、無事身長を計ることが出来た。

 

 

 

これでもし明日の測定時に癇癪を起こしても大丈夫。

コタは一度「いや!」となったら大変だから。

時間をかければ今みたいにできるかもしれないが、そんな暇は病院には無い。

周りにも人はいっぱいいるし、今日より場のコンディションは悪いはずだもの。

 

 

母に抜かりはない。

 

 

 

でも明日、計れると良いな。

今日の「できた!」という良いイメージが、今までの測定の嫌な記憶に上書きされると良いのだけど。

  

 

★その三、診察室に入る

 

最近では、新しい場所や人にも前ほど拒絶はしなくなった。

だから多分大丈夫だろう。

それに、診察室にはおもちゃがあるだろうし。

きっとアンパンマンやトミカがいるだろう。

彼らの力を借りよう。

 

 

★その四、聴診器を当てる

 

聴診器を当てることに対して特に対策はいらないと思っていたが、

コタに「病院で、身長計って、おじちゃん先生に会って、お腹もしもしするんだよ」と言ったら、

「おなか、いやーっ」と泣き出したので、よく話を聞くと、

「ぺたぺた、こわい。こわくて、つめたい」と言った。

 

聴診器は、羽交い絞めにして無理矢理やっちゃうこともできるのだが、出来れば嫌な記憶を増えさせたくない。

楽しくできた方が当然良いに決まっている。

 

なので、急きょ聴診器の練習をすることにした。

 

 

我が家には聴診器が無いので、パソコンのマウスをそれに見立てた。

もんちゃんを椅子に座らせ、

「もんちゃん。今からもんちゃんが元気か診ますねー。お腹出してくださーい。ぺた、ぺた。はーい元気ですね。じゃあ、背中は元気かな?ぺた、ぺた。おー、こっちも元気ですねー」とやっていると、

コタが「コタもー」ともんちゃんを押しのけて椅子に座った。

しめしめ(にやり)。

 

「はーい、お腹出してくださーい」

コタはお腹を張るが、服はめくらなかった。

まあいいか。

「ぺた、ぺた。はーい、コタ元気ですね。背中はどうかな?ぺた。おー、元気だねー。コタ、上手だったね。明日はおじちゃん先生にやってもらおうね」

コタは、少し不安そうな顔を見せた。

「コタ。おじちゃん先生はね、ぺたぺたするのがお仕事なんだよ。コタが元気かなーって、知りたいんだって」

コタは涙目で「いたいの、しない?」と聞いた。

 

 

ああ、そうか。

もしかしたら、注射を打つと思っているのか。

 

「コタ、明日はプスしないよ」と、私は自分の腕に人差し指を突き立てた。

「しない?」

「うん。絶対しないよ」

「コタ、びょういん、こわいの」

「怖いよね。お母ちゃんも怖いときあるよ。でも、明日は絶対プスしないよ。これは約束する」

しばらくこのやりとりを繰り返し、あんまりしつこく言っても良くないかな、と思ったので、話を自然に打ち切った。

 

 

明日は、診察室の椅子には座らず、お母ちゃん椅子で頑張ること、

終わったらアンパンマンミニミニチョコレートがあること、

も約束した。

  

 

★その五、待ち時間

 

これはもう、

これはもう、

持参するおもちゃと電車の本、

待合室にあるおもちゃと絵本に頼るしかない。

 

それでもダメだったら、スマホに頼っちゃえ。

大切なのは、コタが気持ちよく診察を受けられること。

周りの目を気にするな。

 

 

これは、コタと言うより、私の頑張りが試される。

 

 

でも、明日の病院は専門の小児病院だし、

先生も看護師さんも周りの保護者の方々も、自閉症児を見慣れているだろうから、

多少の癇癪があっても大丈夫だよね?

 

私もおおらかな気持ちで行こう。

 

緊張しているとまた眉間にしわが寄る。

 

そうしたらまた、コタが「おかあちゃん、おこらないで!」と泣いてしまう。

  

 

 

 

明日の朝はたっぷり寝て、午前中はコタといっぱい遊ぶ。

 

病院に行く前のお昼ご飯は、コタの好きなパンにする。

 

そのパンはちゃんと買ってある。

 

 

 

うむ。完璧だ。

 

 

 

さー、明日は難所をいくつ越えられるかなー?

 

がんばるぞー。