公園での出来事・後編

2021-02-01

その日の夜、

コタは帰宅した夫に、「おともだちに、おやつ、とられたの」と報告していた。

 

 

私はそれを聞いて、

昼間の自分の対応を思い返した。

 

 

 

私が見る限り、女の子はタッパーを触るだけで、取ろうとしているようには見えなかった。

それに、実際に女の子が取ろうとしたとしても、コタより小さくて力は弱いから、取られることはないと思っていた。

だから笑って見ていた。

 

 

でも、

コタは「おやつを取られた(取られそうになった)」と思った。

 

 

 

 

私は常に頭の中に『自閉症スペクトラム』のことがあり、物事を複雑に見てしまうきらいがある。

どうしたって『特性』について考えてしまう。

 

でも、フラットに見たほうがいい時もある。

 

 

 

 

今回の出来事の根本は単純なことだ。

 

コタは、おやつを取られそうになって、嫌だった。

 

根本はそれ。

コミュニケーション云々、特性云々はその次のこと。

 

 

 

 

もっとその根本を分かってあげれば良かったな。

 

コタが固まっている時、「取られないよ、大丈夫だよ」と、コタに一言言ってあげれば良かった。

そうしたら、コタは安心したかもしれない。

 

相手の女の子に対しても、「これ、コタの大事大事なんだ」とコタの気持ちを代弁したら、

コタはもっと安心して、あんなにパニックになることは無かったんじゃないかな。

 

 

 

 

 

気付いてあげられなくてごめんね、コタ。 

 

 

 

 

 

 

ひとつ、確実に分かったことがある。

 

じっと我慢しているのがエライと思ったけれど、

あれは積極的な我慢ではなかった、と言うこと。

 

コタは、うまく「やめて」や「いやだ」が言えないから。

だから、固まるしかなかった。

その固まったコタを見て、私が「我慢している」と勝手に良いように解釈しただけ。

 

これからは、このことを気を付けて見ていこう。

 

 

 

 

 

 

また、やり方も教えていきたい。

 

今回の場合だったら、「嫌な時は、優しく『やめて』って言うんだよ」と。

「言っていいんだよ」と。

 

言い方や、気持ちの出し方を、ひとつづつ教えていこう。

 

 

 

 

≪おわり≫