2021年4月7日
意外と順調な滑り出しを見せた保育園生活。
しかし今日はそうすんなりとは行かないだろう。
なぜならコタは学習しているから。
朝。
コタは「ほいくえん、いかない」とずっと言っている。
その都度、夫と私はその言葉を否定しないで「そうだね」と相槌を打ち、別の話題に変えるようにした。
朝ごはんのパンのお供はいちごジャムの日だったが、コタの機嫌を直すため好物のチョコレートペーストに変更した。
これくらいの妥協は良いだろう。
機嫌が直ることも悪化することもなく食事が終わる。
送りは夫担当であるが、コタが「おかあちゃんがよかった」と何回も言うので、私はその度にコタを抱きしめながら「お母ちゃんもコタがいいなー」と同じ内容を返した。
説明しても火に油を注ぎそうなので、これ以外に言いようが無かった。
なんとかコタの気持ちを受け止めてあげたい。
そしてしばらくそのラリーが続いた後、コタは何も言わなくなった。
納得したのかどうなのか。
タイミングを見て、昨日のように「トッポを両手に持ってそのまま車に乗って食べようか」と誘うと、コタは「いくか」と自ら玄関へ。
おお…、素直に行くんだ。
やはりトッポの力は偉大なり。
コタは両手に1本づつのトッポを食べ食べ、機嫌良く車に乗り込み、そして出発した。
ここまでは昨日とほぼ同じ。
問題は保育園に着いてからである。
送りが終わっていったん帰ってきた夫に話を聞く。
案の定、今日は警戒してなかなか園内に入らなかったらしい。
車の中で、ネゴシエーターうまお(=夫)の説得が始まる。
まず「給食にラーメンとウインナーが出るよ」とコタの好物をちらつかせてみる。
犯人(=コタ)は、「…らーめん?」と反応はするものの、決定打にはならず。
次にポケットに忍ばせていたアンパンマンジュースを飲ませ、残りのトッポを食べさせる。
―ここで全ての策は尽きた―
犯人は車を降りる気配がない。
交渉失敗か?と思われたその時、
コタは「ととも(保育園に)いる?」と聞いた。
夫は咄嗟に「いるよ」と嘘をついた。
するとコタは安心したのか、ようやく園内へ入った。
そして、コタが室内遊びに夢中になっている間に夫はこっそり出てきたらしい。
しばらく園庭の外から様子を窺ったが、泣き声は聞こえなかったそう。
どうであれ、保育園に行くことは出来た。
私が「良かったね。お疲れさま」と言うと、夫は「明日はもっと警戒されるな。とととの信頼関係が壊れていく…」と嘆いていた。
私は、お迎えの後はそのままコタの行きたいところへ連れて行ってあげようと決めた。
『保育園を頑張ったら楽しいところへ行ける』と思ってもらえたらいい。
そしてお迎えの時間。
私が他のお母さん方に「こんにちは」と挨拶していると、私の声を聞きつけたのかコタが「おかあちゃーん!」と笑顔でテラスに飛び出して来た。
なんと可愛い登場であろうか―
コタに何度もハグをせがまれ、私は何度も何度もコタをぎゅーっとした。
先生に聞くと、朝はととが居なくなったことに気が付いてしばらく泣いていたそうだ。
でも、落ち着いたらダンプで石を拾って遊び始め、給食もしっかり食べたそう。
今のコタの様子を見ても、元気に楽しく過ごせたんだなと分かる。
ひと安心。
帰りの車の中で「保育園頑張ったからコタの行きたいところに行こう。どこがいい?」と聞くと、コタは「でんしゃのこうえんに、いきたい!」と叫んだ。
そして夕方まで、コタの気の済むまでたーっぷりと遊んだ。
18時。
帰宅した夫に、コタは膨れっ面で「とと。きょう、ほいくえん、いきたくなかった!」と訴えていた。
夫は「ごめんね、とと、お仕事行かなきゃいけなくて…」と謝っていた。
夫と私はコタをなだめながら、思わず顔を見合わせた。
(明日は大変になりそうだぞ…)とお互いの顔に書いてあった。
21時。
お布団の中で、「明日は今日以上の抵抗が予想されるが、あーだこーだ言わず、当然のようにサッと連れて行こう」と夫と決め、我ら家族4人は眠りについた。
≪保育園に慣れるまで(4/8 保育園4日目)≫に続く。