2021年7月上旬。(コタ3歳10ヵ月)
この日は私の体調がすぐれなかったので、お風呂には入らず身体だけ蒸しタオルで拭くことにした。
申し訳ないが子どもたちも同様にした。
いつもはお風呂タイムに洗い場でおしっこをするコタ。
今日は身体を拭いてオムツをはかせる時に「おしっこ、でる」と言った。
私はオムツの中にさせようかと思ったが、近くにおまるがあったので、「トイレ(おまる)でやってみる?」と聞いてみた。
コタは「うん」と言い、フルチンで本物のトイレへ走って行った。
「そっちのトイレかい!」と、私は慌ててコタの後を追った。
我が家には洋式便器と小便器がある。
コタが洋式便器の扉を開けようとしたので、いつもお風呂でやっているように立ったまました方がやりやすいんじゃないかと思い、「ととのトイレにしたら?立ったままできるよ」と小便器を勧めた。
コタは素直に小便器の扉を開けた。
コタは小便器の前に立ち、「でない」と言った。
私は「ゆっくりでいいよ」とあまり見ないようにしていた。
すると、
ちょろちょろちょろ…と、途切れ途切れにおしっこが出た。
私は「やったあ!出たね」と驚いて言った。
コタは自分のおしっこが便器に流れるのを見て、そして私を見て、小さく口を開け、はにかんだようにふわっと笑った。
おしっこが終わり、コタと私は一緒に水を流すボタンを押した。
このボタンはずっと前からコタが押したがっており、「コタがトイレでおしっこ出来たら、一緒に押そうね」と約束していたものだった。
その念願のボタンを押し、トイレを出て、洗面所で2人で「やった!やった!できたー!」と飛び跳ねた。
そこに私たちの歓声を聞きつけた夫がやって来た。
私がコタの初おしっこを報告すると、夫も「すごいやんコター!」と喜んだ。
私たちはコタをたくさん褒め、コタはご褒美の『トイレできたよお兄ちゃんシール』(キラキラの電車のシール)を台紙に貼った。
2年前から用意していたこのシール。
ずっと出番が無かったこのシール。
ようやく、使う日が来た―。
なんだか感慨深いものがある。
苦節2年…。
3歳2ヵ月の時に療育のトイレで初めておしっこが出来てから8ヵ月が経っているから、苦節8ヵ月でもある。
―いやあ、長かった。
でも、
8ヵ月前は成功してから急にトイレを怖がってやらなくなったから、
今回は焦らず急かさず、のんびりいこう。
そして翌日の日曜日。
夕方。
夫が私に「そういえば、コタさっきトイレでおしっこしたで~」と言った。
驚いて「え?いつ?」と聞くと、
「いつやったかなー。覚えてへんけど、昼前くらい?」と夫は言った。
私が、「え、あ、そうだったの?え?1人でしたの?コタが勝手にトイレに行ったの?連れてったの?」と畳みかけるように聞くと、
夫は、
「えーと、何やったかな。
プラレールで遊んでたら、コタが『おしっこでそう、トイレいく』って言って、自分でトイレに行ってドアを開けておしっこしてた。
俺はただ見てた」
と答えた。
私は、「…おお。そうか。おお。ありがとう」と言った。
いつのまにか2回目も成功していた。
コタの頑張りはすごいのだが、夫ののん気な報告っぷりに私はなんだか気が抜けてしまった。
…なんか、
夫みたいなぬぼーんとした人がトイトレをした方が、コタもリラックスできて良いのかなあ…。