コタは今までトイレでおしっこをしたことが無い。
私が「おしっこ行く?」と誘うと、コタも「いく」とトイレに行くが、便器に座るとすぐにもぞもぞしたりおしゃべりをしだして、おしっこに集中しない。
本人も出そうだと分かっている様子だが、そのまま出すのが怖いのか、「あれは?」「これは?」とトイレのいたる所を指さし、話をそらす。
終いには「でない」「こんどにする」と言って便器の上に立つ。
明らかにちんちんはパンパンなのに。
仕方ないので「じゃあ、次がんばろうね」と便器から下ろした瞬間、ぴゅーっと床に放尿。
こんなことが何回もあった。
なので、私は半ばトイトレを諦めていた。
コタは便器でおしっこを嫌がる。
強制したらもっとややこしくなるのは想像に難くない。
それに、来年入園予定の保育園も、トイレ完了してなくて良いって言っていたし。
私もストレスためたくないし。
だから、どうにでもなれ~、そのうちいつか出来るさ~、とトイレに誘うことも少なくなっていた。
そんなコタが、
ついに、
トイレでおしっこをした…!
―それは、すっかり秋の気候となった10月16日のことだった。
療育でのトイレの時間。
いつものように「おしっこをしている風」状態にするため、コタを便器に座らせた。
もう形だけの儀式のようなもの。
すると、座った瞬間、
ちょろちょろちょろ、とちんちんからおしっこが出た。
あ。
「コタ、出てるね、おしっこ、出てる」
私は興奮で声が高くなったのが分かった。
コタはちんちんから流れ出るおしっこを見、私を見、ニカッと笑った。
「すごい、すごい、コタ。おしっこ、出来た」
私が大はしゃぎしているので、同じトイレに居た他のお母さんが、「コタちゃん、すごいねー」と言ってくれた。
大興奮の私は「はじめてなんです!」と思わず言ってしまった。
今から思えばはしゃいでしまって恥ずかしい。
けれどこの時は抑えきれなかった。
「トイレでおしっこすると気持ちいね」とコタに言うと、
「きもちいい」とコタも繰り返した。
満足気な様子だった。
便器に浅く座っていたのでちょっと外に漏らしちゃったけど。
そんなこと今はいい。
子ども用便器を買ってから1年。
3歳2か月の秋。
ようやく初おしっこが出来ました!
やったねコタ!