お兄ちゃん

2020-10-29

保育園あそびからの帰宅後、私は精神的な疲れでぼんやりしていた。

 

コタと下の子と3人で、2階で洗濯物を畳んでいる時、
私はうっかり部屋のドアを閉め忘れていた。

 

ドアの向こうの廊下の先は階段。

 

ぼーっと畳んでいると、
廊下から「おさえてるよー」とコタの声がした。

 

見に行くと、
階段の一番上で、ハイハイの状態で今にも落ちそうな下の子を、コタが両手で押さえていた。

 

私は全身の神経が凍るのを感じ、すぐに下の子の体を押さえた。

 

コタは「妹ちゃん、おちちゃうよー」と私に言った。

 

私は震える手でしばらく下の子を押さえていたが、息を整え、抱っこをし、安全な所へ移動させた。

 

「落ちないように押さえててくれたの?ありがとう、コタ、ありがとう」

 

私はまだ震える両手でコタを抱きしめた。

 

強く抱きしめすぎたのか、コタは嫌そうに私から逃れようとした。

 

 

 

その後、コタは「コタちゃんにもやってー」と、
先ほどの下の子の真似をしてハイハイして階段に向かい、私がそれを押さえる、という遊びを何回かやった。

 

コタは、
「おかあちゃん、あぶないからね?」「きをつけてね?」と私に言った。

 

私が真面目に、「はい、きをつけます」と言うと、
コタは「えへへー」と笑った。 

 

 

 

コタが押さえてくれなかったら、下の子は落ちていただろう。

 

きっと、大変なことになっていた。

 

下の子の命を危険にさらしてしまった。

 

これを書いている今も、思い出すと背筋が凍る。

 

階段から落ちていく下の子を想像してしまう。

 

 

 

怖い。

 

怖い。

 

怖い。 

 

 

 

コタが居てくれてよかった。

 

本当によかった。

 

コタが一番しっかりしている。

 

 

 

私は母親なのに。

 

2人の母親なのに。

 

大馬鹿だ。